<年末年始特集>暗号資産市場の振り返りと展望

■20年の暗号資産市場―ビットコインは史上最高値を更新
 20年はジリ高スタートとなった。中国で新型コロナウイルスが確認されたことを受けてビットコインにリスク回避目的の買いが流入したためだ。ビットコインは希少性の高さから、金(ゴールド)と同様に安全資産と見做され、「デジタル・ゴールド」と呼ばれることもある。リスク回避の買いをけん引役としたビットコインは1月に100万円台を回復、2月中旬に115万円近辺まで上昇するなど堅調に推移した。

 中国外に感染が広がるにつれて、金融資産から現金化への流れが加速し、ドル需要が目に見えて高まるころにはビットコインからもリスクマネーが逃避する事態となったが、各国の中銀がドル資金の供給策を示すとドル買いの勢いは落ち着き、ビットコインや「金」は持ち直しの動きをみせる。

 以下の図はビットコイン、日経平均株価、NYダウの1月6日(日本の大発会)を100として指数化したものだが、ビットコイン価格は2月の高値からわずか1カ月後に半減するほどの大幅安に見舞われたものの、その後の戻りも急速で、日経平均株価やNYダウなどがコロナ急落前の3月上旬の水準を回復したのが9月だったのに対し、ビットコインはゴールデンウイーク前の4月下旬にすでに回復していた。

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 ビットコイン上昇の背景には、5月に控えた「半減期」が意識されていた面もあるようだ。半減期はマイニング時に報酬として貰えるビットコインの量が半分になること。市場に出回りすぎて価値が下がらないようにする仕組みで、約4年に1度のペースで実施される。

 半減期を通過すると一時的に調整する傾向にあるが、今回はコロナ禍におけるリスクオフの買いが下値を支えたため、夏まで日柄調整が続いたものの価格的な調整はほぼ見られなかった。秋以降は再びビットコインに資金流入の勢いが強まり、米大統領選の通過とともに買いの勢いが加速。そのまま年末まで上値を追う展開となって、11月24日には17年12月以来となる200万円台を回復、12月17日には史上最高値を更新した。

 また、20年はDeFi(分散型金融)への関心が高まり、DeFiが主にイーサリアムを利用していることから、ネットワーク利用の急増期待でイーサリアムも活況となった。イーサリアムは夏ごろから騰勢を強め、12月には年初来で約5倍となる7万円台を回復し、18年5月以来の高値を付けた。

 XRP(XRP)はリップル社のCBDC(中央銀行デジタル通貨)への取り組みや、リップルネットのメンバーにバンク・オブ・アメリカが加わったことなどを背景に11月ごろから急上昇したものの、SEC(米証券取引委員会)がXRPの販売をめぐってリップル社を提訴したことが嫌気され、12月下旬から軟化した。

■各国で進むCBDCの議論―日本は21年度の早い段階に実証実験
 20年はCBDC(中央銀行デジタル通貨)元年とも言われ、世界各国で導入の検討が進められている。特に積極的な中国では、中国人民銀行(PBC)10月に広東省深セン市で「デジタル人民元」を一般市民に配布し、実証実験を進めている。

 EU(欧州連合)ではECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁が「デジタルユーロ」のパブリックコメントを募集する計画を発表。リテール型のCBDCの発行を検討している可能性が高いと伝えられている。また、英国のイングランド銀行(BOE)のベイリー総裁もCBDCの発行を検討していると発言した。日本では日銀が21年度の早い時期にシステム的な実験環境を構築し、発行や流通などの基本機能に関する検証(概念実証)を進める計画だ。

 一方、米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)のクオールズ副議長が「発行すべきか検討している初期の段階」と述べており、依然として慎重な姿勢を崩していない。

 主要国以外に目を移すと、カンボジアではCBDC「バコン」と呼ばれるCBDCの正式運用が始まっている。バコンはカンボジア国立銀行(NBC)と日本のブロックチェーン企業であるソラミツ(東京都千代田区)が共同開発したものだ。カンボジアは過去に経済情勢の悪化で法定通貨の「リエル」が不安定だったこともあって米ドルの利用がリエルを大きく上回っており、NBCによる金融政策に限界があった。脱ドル化のためにバコンの実用化が積極的に推し進められたようだ。

 現在、基軸通貨と呼ばれるのは米ドルで、決済高ではユーロや円が続くが、CBDCが主流になったとき、先行するデジタル人民元の利用者がドルや円、ユーロよりも多いと、通貨の勢力図が大きく変わる可能性がある。引き続き日銀はもちろん、FRBのCBDCに対する動きには注目だ。

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■21年の暗号資産業界
 フェイスブック<FB>が主導して立ち上げたリブラ協会は12月1日、同協会が開発を進めるデジタル通貨「Libra(リブラ)」の名称を「Diem(ディエム)」に変更し、協会の名称もディエム協会となった。もともとは米ドルや日本円など5種類の法定通貨の比率に併せて連動させたステーブルコインとして発行をめざしていたが、現在は各通貨に連動したステーブルコインを発行する方針。21年1月にも米ドルに連動したDiemがローンチする見込み。

 一方、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は21年2月にイーサリアム先物の取引を開始する。CMEは17年にビットコイン先物の取引を開始しており、仮想通貨デリバティブとしては2例目。また、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは21年から暗号資産の新たなインデックスの算出を始める。暗号資産を投資先として検討する機関投資家も増えており、指数の需要が高まると判断したという。暗号資産インデックスはCMEやナスダックなども算出しているが、相場動向を測る物差しが増えることで、市場の関心も高まりが予想され、21年も暗号資産市場の活況が期待できそうだ。

 このほか、ビットコインは21年に大型アップグレードを予定している。「タップルート」と呼ばれるプライバシー機能の向上と処理速度の向上を図る技術が実装される見通しだ。

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