UBRIオン・キャンパス:ラトガースロースクール、フィンテック規制改革目指す

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 世界のほかの地域と比べ、SEC(米証券取引委員会)はブロックチェーン関連事例に介入する割合が高いようだ。米国の規制当局であるSECは、過去18カ月間だけでも、テレグラムによる自社暗号資産(仮想通貨)販売に中止命令を出し、Kinトークンの販売問題でキック・インタラクティブに500万ドルの罰金を科し、現在はリップルを提訴している。

 ラトガース・ロースクールのユーリア・グーセヴァ氏と、同僚でラトガース会社法&ガバナンス・センターの共同ディレクターを務めるダグラス・S・イークリー氏、会社・事業法教授のアラン・V・ローウェンシュタイン氏による最近の研究によって、SECが「デジタル資産発行者、ブローカー・ディーラー、取引所、その他の暗号資産市場参加者に対し、他の大半の国・地域の規制当局を合わせたよりも多くの法執行活動をしている」ことが確かめられた。

 グーセヴァ教授は、米国の暗号資産市場の大きさがSECによる介入率の高さの一要因であることを認めている。しかし教授は、ある取引が投資契約に分類され証券として登録されるべきかを決定するためにハウィー・テストを用いていることが、別の重要な要因かもしれないと考えている。ハウィー・テストの有効範囲の広さから、SECは過去70年間に渡って幅広い金融商品に権限を拡大することができた。現在ではこの金融商品にデジタル資産も含まれている。

 グーセヴァ教授は、1946年の最高裁判決が21世紀のイノベーションを判断するのに不適切である可能性を示す、法執行上の不整合があるかもしれない、と警告している。最近の論文の中でグセーヴァ氏は、これまでの暗号資産詐欺を訴追し投資家を保護するという明確な方針からSECは逸脱しているように見えると強調した。キック、テレグラム、そしてリップルはこの逸脱の重要な例だ。

 「私は、最近のSECの法執行活動における動学的不整合性を懸念しています。ハウィー・テストの有効範囲の広さと合わせると、この法執行上の不整合性によって不確実性が悪化し、証券法の明確な事前理解を市場参加者が得られなくなるかもしれません」

 市場参加者は、自分達に期待されている行為と、どうすれば効果的に規制を遵守できるかを理解する必要がある。実際、市場は予測可能性と確実性を選好する。しかし不整合性と不明確なルールは、米国企業に他国への事業移転を強いるおそれがあり、金融イノベーションの方向性に深刻な影響を与えるかもしれない。

 米国とは対照的に、法執行の焦点と規制上の透明性の欠如は他の国々では問題でない。海外の規制当局の一部は、デジタル資産市場により多くの指針を提示している。例えば英国の金融行為規制機構は、機能と用途に基づいてデジタル資産を分類し、遡及的な法執行よりも事前の指針と明確な将来的ルールをより重視している。

 グーセヴァ教授が自身の論文で調査した主要金融市場の国・地域23カ所のうち、9カ所ではこれまでに暗号資産関連企業に対していかなる形でも法執行活動を行っておらず、サンプルとなった残りの国・地域もSECが主導しているものと比べるとより寛大な法執行活動を行っていた。海外の国・地域の一部は、より好意的な環境を探しているフィンテック新興企業にアピールする意図的な戦略としてこうしたアプローチを採用している可能性がある。

 もう1つの懸念は、「SECがもはや透明性のある法執行アプローチの戦略的予想可能性を通じて明確さを提供できず、規制当局の動きと戦略的コミットメントに対し市場が相当な不整合性を見出すならば、イノベーターと規制当局との協力構造が損なわれる可能性がある」というものだ。そうなった場合は誠実な企業でも、米国証券法を完全に遵守したりSECとの協力を模索する傾向が少なくなるかもしれない、とグーセヴァ氏は指摘した。

 また、最近の論説の中でグーセヴァ氏は、とりわけ詐欺と関係がない事例や資産を証券か商品に分類するといった不透明な規制上の問題に関連する事例では、SECは自身の法執行方針において費用便益分析を心掛けるべきだ、と論じた。「デジタル資産は機能が異なっていたり用途が制限されている場合があります。そのため、デジタル資産の利用実態と用途を見る機能的アプローチがより適切かもしれません。だがそれを鑑みても、規制上の分析は常にそう単純であるとは限りません」とグーセヴァ氏は説明した。

 グーセヴァ教授はブロックチェーン技術の複雑さを考慮し、革新的な金融商品の利点とリスクを規制当局者や政策立案者に教える上で学術界が重要な役割を持つと考えている。イノベーションは将来の成長を促し危機の際に人々を助ける新たな手段を提供するため、現在の世界的パンデミックとそれに続く景気後退によって法制改革はより重要になっている。

 リップルのUBRI(大学ブロックチェーン研究イニシアチブ)の支援を受け、ラトガース会社法&ガバナンス・センターとグーセヴァ教授は最近にフィンテック&ブロックチェーン共同研究会を立ち上げた。これにはフィンテックやDeFi、ブロックチェーンに基づく事業に関する規制と産業発展に関心を持っている学者、規制当局者、法律家らが集まっている。フィンテックと暗号資産に関する最新の政策課題を議論することがこの共同研究会の目的だ。グーセヴァ氏はまた、ラトガース・ビジネススクールのオザイル教授とともに、金融規制とイノベーションという名称の新たに設置されたコースを教えている。さらにグーセヴァ教授は、既に多くの学生を惹きつけている研究グループを結成した。

 グーセヴァ教授は次のようにまとめた。「私達の現在のイニシアチブはUBRIから得た支援がなければ不可能だったでしょう。UBRIは私達が研究を進めつつ、技術、フィンテック、暗号資産に関するより良い教育を学生に提供することを可能にしました。暗号資産やフィンテック分野での改革の必要性から、政策を議論し、産業、規制当局、その他の利害関係者に学説的解答や規制上の解答を提示するうえでロースクールは不可欠なハブとなっています」

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/ubri-on-campus-rutgers-law-school-looks-to-reform-fintech-regulation/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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