ビットコインと現代貨幣理論

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 人類は「世界恐慌後最悪の不況」を経験しようとしている、とIMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストのギータ・ゴピーナート氏は言う。次の不況は、拡大する新型コロナウイルス対策として各国の政府が都市封鎖措置を実施したことによる結果として起こるとされる。

 新たな一連の量的緩和措置とともに経済活性化のために紙幣発行機を稼働させている中央銀行が複数見られるように、経済理論が社会政策の前面に持ち出されている。

 この記事では、現在の世界におけるMMT(現代貨幣理論)と、ビットコイン<BTC>との関連性について取り上げる。

 ●MMTとは

 簡潔に言うとMMTとは、政府が必要な量の法定紙幣を発行すべきだとする経済理論である。

 MMTでは、政府の支出は課税や債券によって得られる資金によって抑制されるものではないとする。それだけでなく、論争が起きているこの経済理論では、政府は紙幣発行において実質的な独占権を有しているため、支出に必要とする紙幣を発行することができると主張されている。

 MMT反対者は「無限の」紙幣発行は巨額の国債を生み、急激なインフレをもたらすと強く主張している。

 しかしMMT支持者は、政府は国債返済のためにさらなる紙幣を発行することできるため、債務不履行に陥ることはないと考えている。加えて、彼らはインフレは政策措置(課税等)で防ぐことができ、労働力や資本、天然資源などの「実物資源」が枯渇したときになって初めて重要な問題となると考えている。

 FRB(米連邦準備制度理事会)元議長であるアラン・グリーンスパン氏が述べた有名な言葉がある。「我々は常に必要な紙幣を発行することが可能なため、米国は自国のいかなる借金も返済することができる。したがって債務不履行となる可能性はゼロである」

 矛盾した言葉に聞こえるかもしれないが、ある意味では彼は正しかった。米国政府の国債が11年7月に「債務上限」に達した際、連邦議会は2011年予算管理法を可決し、米国が債務不履行に陥ることを防ぐために債務上限を引き上げた。

 債務上限を引き上げる決断によって、中央銀行の紙幣発行機を一斉稼働させたということではないが、自由市場の法律を無視したような独自の規制を作り出すという政府の能力を見せつけた。紙幣発行を増加させることはその1つといえる。

 ●MMTは再び取り上げられているが、皆が賛成というわけではない

 MMTはアレクサンドリア・オカシオ―コルテス氏やバーニー・サンダース氏のような人物が現代の経済苦境に対する実行可能な解決策として提唱していることもあり、再び話題となっている。

 加えて、経済活性化ために紙幣を発行する連邦準備制度など、近年における米国の経済刺激策をみると、ある程度MMTは近代経済学界の一部となっているとわかる。

 仮想通貨関連ツイッターがあらゆることに関する議論を好むように、経済学者は経済理論についての議論を好む。その中、MMTはある程度は経済政策として利用されるようになった。

 しかし、皆がこの理論は好むということではない。MMTに反対する著名経済学者はおそらく間違いなく支持者よりも多く存在する。

 例えばFRB議長のジェローム・パウエル氏は近年、上院の聴聞会で「自国の貨幣での借り入れが可能な国にとって赤字額は問題とならないという考えは誤っている」と述べた。

 元財務長官であるローレンス・サマーズ氏や元IMFチーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏、ノーベル賞受賞経済学者であるポール・クルーグマン氏なども同様の見解を示しており、全員が紙幣を無限に発行することは経済に害を与えないとする考えに異議を唱えている。

 紙幣の過剰発行の極端な例ではあるが、しばしば引き合いに出されるものはジンバブエである。ムガベ大統領が00年に紙幣発行機を一斉稼働させた際、ジンバブエは最終的にハイパーインフレに悩まされ、その後10年もせずジンバブエドルの崩壊という結果となった。

 ジンバブエと米国の経済を比較することはできないが、この例は抑制が効かなくなった場合、資金供給の増加によって経済にもたらされる結末を思い起こさせるものである。

 ●ビットコインとMMT

 人々が現代貨幣理論に賛成であっても反対であっても、確かなことはビットコインがこの経済理論に対抗しているということである。

 世界の主要デジタル通貨は安定した通貨供給量とデフレの発行モデルを表している。合計通貨供給量は中央銀行が増加させることはできず、発行モデルは政策の施行によって変わることはない。これは大部分が政府の介入によって操作される法定通貨システムとは全く対照的なものである。

 ほとんどのビットコイン愛好者がオーストリア経済学を好むということがあるため、MMTがビットコイン利用者の間で大きな話題にならないのは何ら驚くべきことではない。

 「ビットコイン愛好者かつCastle Island Ventures社の共同経営者であるニック・カーター氏はブログに、MMTは「陽気な加速主義をもつ残虐行為である。つまり、国は表面上自国の通貨で販売可能商品を無制限に購入することができるということであり、崩壊という結末になる」と投稿している。

 ビットコイン業界が賛同できる部分は多くないが、「サウンドマネー(健全通貨)」を作り出すということは大多数の人々の共通の目的である。また、通貨がサウンドマネーとなるためには、希少であることと国家干渉を受けないということが前提だ。つまり、ビットコインは米ドルよりさらに健全であるということを意味している。

 ビットコイン独占の世界があれば、ビットコインを採掘されるよりもさらに採掘するということは単に不可能であるため、MMTは存在しないということになる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/exclusives/bitcoin-vs-modern-monetary-theory-6569.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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