ゼロ金利だけがステーブルコインの需要高める要因でない

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・米ドル連動のステーブルコインの需要は多くの要因が関わっている。
・ステーブルコインはその他原資産の変動に影響を受けないわけではない。
・結果的に暗号資産への注目が再度高まる可能性が高い。

 新型コロナウイルスにより米でゼロ金利政策が打ち出された。ゼロあるいはマイナスになりうる金利政策下では、ステーブルコインへの需要のみならず、仮想通貨全体への需要も高まるだろう。

 なぜだろうか。もはや金利などほとんどない銀行に預金をすることとは対照的に、今やドル建てのステーブルコインを所有するにあたり機会費用は生まれることはない。

 また、変動する価格の緩衝材となる仮想通貨市場のボラティリティ(変動率)もステーブルコインへの需要を増加させる一因となりうる。ゼロまたはマイナス金利とインフレーションへの潜在的リスクによって変動が大きい仮想通貨への需要が生まれるので、ステーブルコインのさらなる流入も起こるかもしれない。

●世界的なステーブルコインへの資金流入

 3月18日、ICOアナリティクスがツイッター上で、ほとんどのドル建てステーブルコインの時価総額は2月に急増していると指摘した。

 何らかの理由でドル連動のステーブルコインへの需要はここ数週間で明らかに増加している。これに対してThree Arrows CаpitаlのCEO(最高経営責任者)であるス・チュ―氏は、ゼロ金利により投資家たちにとってステーブルコインがより魅力的に見えていることが大きな要因であると述べている。

●ドル建てステーブルコイン時価総額

 他のアナリストや業界人も、見通しは様々でかなり仮定的ではあるが、ゼロ金利の風潮が持続すれば、ステーブルコインへの世界的な資金流入が増加する可能性があると考えている。

 イートロのブロックチェーン研究所長であるオムリ・ロス博士は「相場状況に関しての賛否の意見はどちらも説得力がある。マイナス金利がほとんど課されていない現状では投資家はステーブルコインを選択するに至るかもしれない。もちろんマイナス金利は今後起こる可能性があるのだが」と語る。

 同様に仮想通貨調査会社スミス・アンド・クラウンのブラントダウンズ氏は、米ドル連動のステーブルコインへの需要は増加する可能性があるが、ゼロ金利政策以外の多くの事象が要因となりうると考えている。

 「低金利またはマイナス金利の期間の長さに従い状況は異なるだろう」とダウンズ氏は語る。

 「広い意味においての私たちの見解では、ステーブルコインは基軸となる原資産(それが金や法定通貨、不動産の一部や商品、その他の資産であっても)の変動の影響を受けないわけではない。ということは、ドル建てステーブルコインを所有することは、マイナス金利に陥る可能性を持つドルによる影響を避けるための長期的で拡張性のある対策とはなりえないということだ。

●ステーブルコインへの間接的需要

 現状はかなり不透明であるため、ステーブルコインを利用することへの直接の利害関係を決定づけることはできないが、評論家は低金利またはマイナス金利(とコロナウイルスによる継続的な景気後退)は間接的にステーブルコインへの需要を生むと考えている。

 「最も考えられるシナリオは、この経済危機とこれに関連し世界中の政府によって実施される救済措置の結果として、最終的に仮想通貨が再び注目されるということである」とダウンズ氏は述べる。

 彼は、もしインフレ環境が生じれば、インフレ防止対策として仮想通貨を含む代替資産が再び注目されるようになると予想している。

 「ステーブルコインは、拡大する暗号資産社会において手を出しやすく誰にでも容易に取引ができる重要な通貨として、利益を生み出していく見込みがある。ステーブルコインへの投資比率を高めることだけを期待しているトレーダーが増えるという間接的な結果であるとしてもだ」と彼は言う。

 ダウンズ氏はスミス・アンド・クラウンがステーブルコイン分野の発展と拡大は、暗号通貨社会の成長と発展の跡をたどると考えていることを明らかにした。それは単なる金利環境の変化への反発ではないと加えている。

 ロス博士はこの評論にほぼ賛同している。

「ステーブルコインは投資家が暗号資産社会内にとどまるような仕組みを提供しているので、彼らはドルが低下することに対してのインフレ防止策としてビットコイン<BTC>など他の暗号資産に移行するかもしれない」と彼は言う。

 またロス氏は、これがステーブルコインの流入を生じさせる要因として最も可能性が高いものとして考えている一方で、DeFi(分散型金融)に使われるステーブルコインにさらに直接的な利害関係があるかもしれないと推測している。

 「最後に注意すべきことは、分散型P2P方式のステーブルコインのレンディング(貸出)は潜在的投資家へのリターンによっては、資金の流入を引き付けるかもしれないことだ」と彼は加える。

●高いボラティリティ

 しかし、ゼロ金利によってステーブルコインの流入の増加が起きないのであれば、ステーブルコイン時価総額が3月に上昇している事実はどのように説明できるのだろうか。

 「例えば今年度はテザー<USDT>の公表時価総額は54%増加している。一方でUSDコイン<USDC>の公表時価総額は31%の増加で、パクソススタンダード<PAX>は8%の増加を示している」とダウンズ氏は述べる。

 ダウンズ氏はこの増加は仮想通貨市場のボラティリティ(変動率)の拡大と関係があると考えている。

 「課題は、ほぼ同時期に起こる主要仮想通貨の価格の減少によってこの成長に影響を及ばさないことだ。下落する恐れが継続的に続けば人々はそれを回避しようとするため、ステーブルコインへの移行の動きが生じるだろう。」と彼は言う。

 ロス氏はステーブルコインの資金の増加の多くは拡大したボラティリティの働きによるものと考えている。

 「強い結びつきがないにもかかわらず、ステーブルコインの取引量は一般的にビットコインのボラティリティとドル建て価格によって影響される。これら資産の主な目的は暗号資産にあり続けるためである」。

 これはステーブルコインの回復に望みをかける人々にとっては悪い知らせかもしれない。しかし、ダウンズ氏はもしコロナウイルスによる景気の低迷が長引かなければ、ゼロ金利の風潮は一般的に仮想通貨を活性化すると考えている。

 「概して、低金利またはマイナス金利政策は代替資産への関心を高めるはずだ」と彼は結論付けている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/exclusives/zero-interest-rates-not-the-only-driver-for-stablecoin-deman-6274.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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