マッキンゼーによるリテール銀行におけるBCの3つの利用ケース

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 大手コンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、新しく未開の地に注意深くなるのは理解できるが、「リテール銀行にとってBC(ブロックチェーン)が価値を作り出す分野はたくさんある」

 6月の記事の中で、マッキンゼー・アンド・カンパニーはリテール銀行はデジタルビジネスモデルを導入、順応、開発するのは素早かったものの、データをベースにしたサービス及びモバイル銀行の提供者である今、BCで同じことをするのにこれまでとても遅いと述べた。この記事の著者であるMatt Higginson氏、Atakan Hilal氏、Erman Yugac氏は「これまで大規模な金融産業のイニシアチブが作られたことはなく、銀行に関する厳しい規制が参入障壁を高くしている」と説明し、「将来的なBCの規制それ自体不安定なままである」とも述べた。

 一方で、投資銀行、インフラ提供者、政府までもがコストを削減しながら安全性と透明性を高めるためにBCを実験している。ホールセール銀行はフィンテックと提携しイノベーションとハッカソンを立ち上げており、また、200以上の機関がオープンソース・プラットフォームでBCソリューションを開発するうえでソフトウェア企業のR3と提携している。さらに、今回の記事の著者によれば、ベンチャーキャピタルによるBCへの出資は17年に10億ドルに達した。

 1月の記事の中で、Higginson氏はリップルなどのBCプレイヤーは「ますます銀行以外の決済企業と提携しており、そのような企業の事業はBC技術によりフィットしている。また、これらの企業はBC統合をより急速に進めることに前向きだろう」と述べている。

 その5か月後の今回の記事の中で、著者らは規制の懸念を克服する中でBCを実験し始めたリテール銀行がいくつかあると主張する。1つの例は18年のサンタンダール銀行によるリップルとの提携で、これによって初のBCをベースにした資金移動サービスが生まれ、ユーロとドルによる国際的な資金移動を可能にした。「それでも、リテール銀行が大きなスケールで前進するには、さらなる価値実証が要求されるだろう」と著者らは述べる。

 例えば、ドイツの中央銀行総裁のイェンス・ヴァイトマン氏は最近、BCを利用して証券と現金を移動、決済する試験は従来の方法よりもよりコストがかかり、処理が遅いという結果になったと述べた。しかし、プロトタイプは「原理上は金融取引に関する基本的な規制機能を全て満たした」

●リテール銀行における利用ケース

 著者らは「最終的に大きなスケールで展開されることができ、BCの強固なデータの扱い、仲介者の排除、信用という3つの主要な要素に関して最も多くのものを提供する」リテール銀行における以下の3つの利用ケースを議論した。

 1 送金

 ますます成長する国際送金は年間で6000億ドルに達するものの、送金プロセスは「魅力的でなく、不透明で、仲介者が多く存在し」、その結果、費用がかさむ。BCを利用することで、透明性と不変性が生まれ、年間で40億ドルが節約できると推定されている。

 著者らによれば、「BCはいくつかの不効率性を直すことで価値を生み出すことができるだろう。例えば、もし法定通貨ではなく仮想通貨資産(中央集権的な規制機関を必要としないデジタル通貨)を交換するのであれば、現在のシステムではなくBCを利用することで数分間で送金を完了することができる」

 リップルネットと17年にJPモルガン・チェースによってローンチされたBCを用いたP2Pネットワークのインターバンク・インフォメーション・ネットワークがここでの例である。

 大きなスケールでの導入に関する障壁としては匿名性への制限と現在リアルタイムに取引を完了することが不可能なことがある。

 2 KYC(顧客確認)とID詐欺の防止

 今回の記事によれば、「KYCプロトコルは詐欺に対抗する重要な道具であり」、銀行はID詐欺だけで毎年150億ドルから200億ドルを失っている、銀行に存在する顧客のデータを保護するよう求める圧力もますます強まっている。現在使用されているソリューションは「効率性を上げたが、オンボーディングに時間がかかり、コストもよりかかる」

 BCを利用することでオンボーディングのプロセス全体を単純化し、かかる時間を大幅に減らすことができる。KYCとAML(対資金洗浄)コンプライアンスでかぶっているところを排除することができ、情報負荷も減らすことができる。銀行はデータの更新時にそれを広めることもできる。また、世界中でリテール銀行の事業コストを最大で10億ドル節約することができ、規制に関する費用も20億から30億ドル減らすことができる。「加えて、BCソリューションが詐欺による年間の損失を70億から90億ドル減らすと予想している」

 BCはID詐欺の発見分野においても実験されている。1つの例は、デジタルID・ネットワークの作成である。17年にBCを利用したデータ保管を扱うスタートアップであるブルゼルはシンガポールの3つの銀行によるコンソーシアムと提携し、KYCのためのプラットフォームを実験し、BCプラットフォームは「効率性を改善し、金融犯罪のリスクを減らし、パフォーマンスとスケジューリングの要求への反応を高める」ことを示し、コストは25%から50%減った。

 問題としては、個人システムから共有システムへ移行するのに必要な資金コスト、顧客から商業企業、銀行に至るまでの全ての段階で克服される必要がある一連の現実的な困難が存在する。「加えて、銀行はデータを共有することを前提とする文化の進化に順応しなければならない」

 3 顧客データを使用したリスク評価

 リスク評価はしばしば複雑であり、情報の不足が存在し、「信用評価を行うのに十分な現金を用いない金融取引を行っていないかもしれない。その結果、銀行は信用評価を行う際に保守的になりがちである」

 BCを用いることで、銀行は理論的にはネットワーク内のどの銀行がアップロードした情報も見ることができ、これは「素早い決断、より効率的なプロセス、確かな情報に基づく信用分配プロセスの可能性に繋がる」

●導入を増やすための3つのこと

 著者らは以下の3つのことがBCの導入を増やすために必要だと考える。

 より途切れのない法定通貨とデジタル通貨の間の移動。これにより、顧客はこの2つの間を移動する際にリスクを負わなくてよくなる。解決策としては、中央銀行が製品製造をサポートし、リアルタイムP2P決済、国境を超えた銀行間の清算を可能にする仮想通貨による法定通貨を発行することだ。

 規制の作成。これにより、関わっている人々は「暗号資産の地位、交戦規定、投資家保護について確実性を有するようになるだろう」

 BC上に作られた顧客ID。これにより、銀行は信頼性のあるIDに基づいてリアルタイムでローンの決定を行うことができるだろう。

 加えて、重役らがBCの長期的な利点がコストに見合うと信じる必要があるため、「戦略的な転換点が必要である」と今回の記事は強調する。

 「これらの懸念に対抗するために重要なことは、コストの削減、摩擦の減少、より安全なリテール銀行・システムといった利点に目を向け続けることである」とこの記事は述べる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/mckinsey-finds-three-blockchain-use-cases-in-retail-banking-4010.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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