未来実現へ:ジンジャー・ベイカー氏とIoV、マネー20/20ヨーロッパで注目

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 マネー20/20ヨーロッパで3日に行われた「19年のイノベーションをどう評価するか」という論題のパネルディスカッションで、司会役を務めるOPフィナンシャル・グループのOPラボ責任者が「あなたにとってイノベーションは何を意味するか?」という自由回答形式の質問で議論の口火を切った。

 リップルで製品担当のシニアディレクターを務めるジンジャー・ベイカー氏は即座に、「イノベーションとは未来を実現することだ」と回答した。同氏は続けて「実現することはアイデアを生み出す創造性と同程度に重要だ。未来がどうなるかについて明確なビジョンを描く必要はあるが、そのビジョンを実際に現実のものにするのはイノベーションだ」と述べた。

 リップルにおけるそのビジョンとはIoV(価値のインターネット)、すなわち今現在の情報と同じくらい迅速に金銭がやり取りされる世界のことだ。そして目先のイノベーションを軌道に乗せる際にこのビジョンが果たす役割は、ベイカー氏にとって討論全体を通じ重要なテーマとなった。

 他のパネリストは若干異なるアプローチでイノベーションを定義した。マスターカードの新たな決済プラットフォームで代表を務めるポール・ストッダート氏は、イノベーションとは製品開発のリスクを負うことだと述べた。アマゾン・ペイで市場開拓の責任者を務めるアミット・プロヒット氏は「顧客を喜ばせ」その後「そこから逆算すること」の重要性を語った。HSBCでデジタルデータ・開発のグローバル責任者を務めるジョシュ・ボトムリー氏は、イノベーションとは変化のプロセスだと主張し、「立ち止まったり、いつもと同じことをやり続けてはいけない」と結論付けた。

●イノベーション文化の育成

 司会のクリスチャン・ルオマ氏はその後、イノベーションの育成に話題を向けた。マスターカード、アマゾン・ペイ、HSBC、リップルは4つの大きく異なる業種の企業を代表している。ルオマ氏はパネリストに対し、それぞれの組織でのイノベーションの生じ方の類似点と相違点について考えるよう求めた。

 アマゾン・ペイのプロヒット氏が最初に「我々はイノベーション部門を持っていない。全ての社員にイノベーションを期待している」と答えた。同氏は、新たな商品やサービスに関するアイデアを共有するための自社独自の方法について、「何を伝えれば顧客の関心を惹くことができるかを考えプレスリリースやFAQを自分で書くこと」と話す。

 ベイカー氏はプロヒット氏に同調し、リップルにも個別の部署はなく、イノベーションは根底に存在すると説明した。同氏はさらに、イノベーション文化の構築が難しいかも知れない大企業で働くことの課題を指摘した。同氏は具体的に「どこからでも良いアイデアが生まれる文化を創り出すことが重要だ」と述べた。これにより、あらゆる職種の従業員が自分のアイデアを出しやすくなり、組織のトップの首脳陣もそれらのアイデアを尊重するようになる。

 HSBCのボトムリー氏は、銀行が直面している特有の課題について議論した。同氏は、新たな製品やサービス向けにシステムを適切に統合するために、常に変化する規制や情報セキュリティの遵守を確保するプロセスの管理とイノベーションの育成とが拮抗関係にあると説明した。

●イノベーションのKPI設定

 イノベーションの成功度をどう測るかについて、プロヒット氏はアマゾンは「顧客を念頭に置き続ける」ことを重視していると繰り返した。同氏は顧客が製品を楽しんでいるかを基準にKPI(重要業績評価指標)を設定することを提案した。

 マスターカードのストッダート氏がこれを補足した。同氏は、顧客の商品への熱中度で成功を測ることに加え、製品開発部門の熱意を見ることが成功の良い初期指標になると述べた。同氏は「熱意があれば、彼らは製品を生み出すために障害を乗り越えるだろう」と語った。

 ベイカー氏は、ビジョンに基づいたイノベーションというアイデアに立ち戻った。同氏は「長期的なビジョン(リップルの場合はIoV)を常に念頭に置いた上で、顧客の差し迫ったニーズの解消に注力することが重要だ」と説明した。

 司会のクリスチャン・ルオマ氏はこれに対し「現在は決済に重点を置いているとして、IoVはどのように実現されるのか?」と質問した。

 ベイカー氏は、リップルは国際決済から軋轢を無くすことに注力しているが、これはIoVへの段階的発展の推進にも役立っていると説明した。実際、決済における軋轢は、世界中の人々がEメール送信と同じくらい容易に価値をやり取りできるようする際の大きな障害の1つだ。BC(ブロックチェーン)に基づくリップルの技術は、利用可能性、信頼性、費用、速度に関する既存の障害を緩和・除去する一助となる。これによって、IoVが徐々に実現する。

●競争:邪魔か必要か

 このパネルディスカッション最後のテーマは競争だった。競争はイノベーションにとって不可欠な要素なのか、邪魔なのか?

 HSBCのボトムリー氏は、この質問を再構成し「誰が競争相手かと言う話ではない。その弱味が何か、これまでの解決法と比べより優れたスマートな方法でそれをどう解決できるかという話だ」と述べた。

 マスターカードのストッダート氏は、「10年、20年前とは異なる方法で競争相手を追いかけている。起こっている物事を把握し続けることが重要だと考えており、そのための専任の部署が存在する」と述べた。

 同氏はさらに、この変化の一因は競争環境の急速な発展にあり、新たなアイデアの保護は難しく「素早い追随」戦略はもはや有効ではないと説明した。

 ベイカー氏は別の解釈を披露した。同氏は、「リップルが現在属している初期段階の業界には多くのノイズが存在する。周囲で何が進展しているかを知ることは重要だが、先の物事に注力し続けることがより重要だ」と述べた。

 同氏はさらに、「決済業界以外や、インターネット等の技術が発展してきた道筋に目を向けることで、先の物事への着想を得ることができる」と付け加えた。

 同氏は歴史的な例として、Eメールに言及した。インターネット・プロバイダーはTCP/IPやHTTPプロトコルを制定した。他の業界におけるこうした抜本的な変化はユーザー体験を劇的に向上させ、大衆への普及のきっかけとなり、今日のインターネットサービスを再定義した。同様に、決済業界におけるBC技術のこの新たな波も、IoVを生み出す基盤となるだろう。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/delivering-on-the-future-internet-of-value-money2020-europe/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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