19年の仮想通貨見通し

■18年は大荒れ、当局の規制や取引所のずさんな管理で投資家が離れる
 18年の仮想通貨市場は、大荒れとなった。「仮想通貨元年」とも呼ばれた17年は12月にビットコイン(BTC)が1BTC=1万9,000ドル台を突破し、2万ドルへの期待が高まった。18年も年始は1BTC=1万7,000ドル台を付けるなど堅調だったが、2月にかけて調整色を強めた。1月下旬に日本の仮想通貨取引所コインチェックが580億円相当の仮想通貨ネム(XEM)を流出し、投資家が一気に離れていったためだ。

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出所:コインマーケットキャップを基にモーニングスター作成

 17年末から各国の規制当局が仮想通貨による資金調達(ICO)を規制する動きが広がった上、コインチェックの流出事件は外部からのアクセスが可能なホットウォレットにあったものが標的となっており、国内の仮想通貨取引所によるずさんな管理が嫌気された格好だ。

 9月には国内の仮想通貨取引所であるザイフが同じくホットウォレットで管理していた仮想通貨を流出させた。コインチェックによる流出事件以降、金融庁による度重なる指導があっても対策をしてこなかった取引所に対する不信感は高まったと言える。

 11月以降は株式市場など世界的に金融市場が不安定となり、リスク回避の動きが仮想通貨市場にも広がって下値を模索している。

 投資家による仮想通貨離れは売買代金にも如実に現れており、昨年末から今年初めにかけては1日200億ドル前後で推移し、1月には250億ドルにも接近したが、その後は減少。直近では100億ドルに届くどころか、50億ドルを突破すれば盛況という有様だ。

 ビットコインに限った話ではなく、主な仮想通貨は低迷している。ビットコインは昨年の高値から直近安値まで約8割も下落したが、ビットコインと並んで二大仮想通貨とも言われたイーサリアムは9割も下落した。時価総額は7割弱の減少となっている。

 ここで興味深いのがリップル(XRP)だ。リップルはビットコインとイーサリアムから遅れて今年1月にかけて高値を付けた。このとき、時価総額はイーサリアムを上回った。1月下旬からの下げ相場でリップルも急落し、時価総額も減少、足元の価格も1月の高値との比較では9割近い下落だが、時価総額はというと、イーサリアムを上回る状態が続いている。昨年末から今年初めにかけて増えた投資家の減少に、ある程度歯止めを掛けられていると言えそうだ。

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出所:モーニングスター調べ

■19年の仮想通貨、鍵は利用方法か
 18年12月も、仮想通貨は戻りの鈍い展開が続いた。「トランプリスク」などを背景に金融市場全体がリスクオフの流れを強めたこともあり、仮想通貨独自の悪材料とは言い切れないものの、だからといって買い上がるような材料があるわけでもない。値動きの激しさから、市場では仮想通貨に対する見方も投資よりは投機の印象が強く、こうした点も新規の投資家を招きにくくしている要因だろう。

 ここから仮想通貨が本格的な戻りを試し、投資家に改めて受け入れられるにはどうすれば良いのか。大きなイベントとして注目されているのは、SEC(米証券取引委員会)によるビットコインETF(上場投資信託)の上場可否だ。Cboe BZX取引所が申請しているもので、8月に決定が延期されてから、先延ばしになっている。延期という措置について、市場では環境さえ整備されれば承認されるのではとの期待がある。承認されれば離れていった投資家を呼び戻すことが出来るかもしれない。18年も金融当局による規制が目立つ一方で、米国の金融機関や企業では仮想通貨に関連したサービスの提供なども登場しており、技術への期待の根強さがうかがえる。

 また、先物市場は取引が増加傾向にあり、仮想通貨を扱う機関投資家が徐々に増加していることを示唆する。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、先物取引の出来高が順調に伸びており、第3四半期における先物取引の一日平均の出来高は、第1四半期の約2.3倍となった。地合い悪化の影響もあって第4四半期の出来高は伸び悩んでいるが、それでも第2四半期までの水準を大きく上回る見通し。機関投資家によるビットコイン先物への投資意欲は減退していないと見て良いだろう。機関投資家の仮想通貨市場参入という観点からはビットコインETFが承認されれば、さらに市場は厚みを増すことになるだろう。

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出所:CMEのデータを基にモーニングスター作成

■ブロックチェーン技術の将来性、既存仮想通貨と政府発行のデジタル通貨との共存も
 リップルのように、仮想通貨の技術を使った利便性の高さが再認識されることも重要ではないだろうか。リップルは円滑な国際送金を目的に開発された仮想通貨として有名だが、そもそもビットコインをはじめとする仮想通貨の基幹技術である「ブロックチェーン」は送金の円滑化が期待されていたものであり、金融機関も実用化に向けて研究を続けている。

 仮想通貨やICOへの規制を強めた各国の金融当局でも、政府公認のデジタル通貨を発行する、もしくは発行を検討しているところも増えてきた。既存の仮想通貨の信頼性はともかく、その技術を活用すれば送金コストを大幅に抑えることができるため、利用しない手はない。

 各国の中央銀行が独自のデジタル通貨を発行するとなると、絶大な信用性を持つことになり、既存の仮想通貨は淘汰される恐れもある。ビットコインのように一部の実店舗で利用が可能なものの他、国際送金などでの利用に特化したリップルなどは企業を巻き込んですでに実用化に向けた研究が進んでおり、このまま自然消滅するのは社会的にもリスクがある。減少したとはいえ、時価総額は数兆円規模であり、これがなくなれば金融市場に混乱を招くだろう。

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出所:モーニングスター調べ

 仮想通貨が一般的になった現状で、金融当局がデジタル通貨を発行しつつも民間企業を規制するのは道理が通らず、中央銀行によるデジタル通貨の発行は、むしろ企業によるICOに前進が見られる可能性もあり、歓迎すべきかもしれない。

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