英政府・中銀・民間が目指すフィンテックの世界都市化

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 英財務省は19年3月のEU(欧州連合)離脱後に予想されるロンドンの金融街(シティ)弱体化を補うため、フィンテックの世界都市を目指す方向性を示している。

 オープンバンキングの最近の事例としては、モバイルバンキング専門の英スターリング・バンクと英国のフィンテック企業ペンションビーとの提携がある。同行はマーケットプレイス(インターネット上で個人と企業が自由に参加できる取引市場)で、ペンションビーのAPIアプリを使って顧客と年金残高のデータを共有できる一方で、ペンションビーの顧客は自分の年金残高をリアルタイムに見ることができる。

 17年10月には、英金融大手HSBCと子会社のファーストダイレクトがオープンバンキングの試みとして、英国のフィンテック企業バッド(Bud)と提携した。米オンラインニュースサイトのビジネス・インサイダーによると、「HSBCは顧客の送金サービスニーズに応えるため、特定の送金会社との面倒な提携をしなくてもバッドが提供する金融プラットフォーム上で送金サービスが利用できるAPIを使うだけで顧客の送金ニーズに対応できるようになる」という。

 また、最近では英バークレイズ銀行がインターネット上で取引が可能なビットコイン(BTC)の全米最大の取引所コインベースと銀行取引で業務提携した。コインベースは現在、バークレイズの24時間365日即時決済・送金ができるリアルタイム決済サービス「ファースター・ペイメント・スキーム」へのアクセスが可能になっている。

 ただ、英国のフィンテック業界のベンチャーキャピタル、スタートアップブートキャンプの創設者ネクタリオス・リオリオス氏は3月27日付の英オンラインニュース「ラカンター」で、「金融機関の側に技術革新への意欲と達成能力との間に大きなギャップがある。銀行とフィンテック企業との間でこのギャップをどう埋めるかの話し合いができていないのが問題だ」と指摘する。銀行とフィンテック企業の技術的な融合にはまだ多くの課題が残されている。

 一方、BOE(イングランド銀行=中銀)も中銀の当座預金振替によって行われる金融機関同士の資金取引や国債などの有価証券の決済システムであるRTGSの見直しで、仮想通貨のメリットを最大限に生かす方法を検討している。

 BOEのカーニー総裁は3月2日、スコットランドのエジンバラで開かれた経済懇談会で講演し、インターネット上で取引が可能な仮想通貨ビットコインに似たBOE独自の仮想通貨を導入したい考えを強調した。同総裁は、「われわれは中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)の可能性について研究している。特に最新のRTGSへの見直しと新しいテクノロジーを組み合わせることによって、決済システムの信頼性とリアルタイム(即時)処理、(金融機関を介さずに直接ユーザー同士がやり取りする)分散型P2P取引という社会ニーズにより一層応えることができる」と述べている。

 ただ、同総裁は仮想通貨が代用通貨となることについては否定的だ。「仮想通貨は多くの理由で真の通貨ではない。仮想通貨が政府の信用で流通する法定紙幣にとって代わる可能性はかなり低い。従って金融政策決定者の多くは仮想通貨を通貨ではなく仮想資産(クリプトアセット)として見ている」との見解を示し、仮想通貨の資産としてのメリットに着目している。その上で、「(暗号化されたデジタル資産である)仮想資産を使って最新のRTGSを構築し、将来的には国内の民間銀行を相手にしたホールセールバンキング(政府や機関投資家などを対象とした大口金融)を超えて、個人や一般企業向けに開放した最新のRTGSを目指す」と述べている。
(イメージ写真提供:123RF)

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