カーニーBOE総裁、独自仮想資産導入を検討

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 BOE(英中央銀行)のマーク・カーニー総裁は3月2日にスコットランドのエジンバラで開かれた経済懇談会で講演し、現在BOEが取り組んでいる最新のRTGS(中銀の当座預金振替によって行われる金融機関同士の資金取引や国債などの有価証券の決済システム)の構築で、インターネット上で取引が可能なビットコイン(BTC)と似たBOE独自の仮想通貨を導入したい考えを改めて強調した。

 カーニー総裁は講演で、「われわれは中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)の可能性について研究しているが、特に最新のRTGSへの見直しと新しいテクノロジーを組み合わせることによって、決済システムの信頼性とリアルタイム(即時)処理、(金融機関を介さずに直接ユーザー同士がやり取りする)分散型P2P取引という社会ニーズにより一層応えることができる」と述べている。

 ただ、同総裁は仮想通貨が代用通貨になるかどうかについては否定的で、「仮想通貨は多くの理由で真の通貨ではない。仮想通貨は政府の信用で流通する法定紙幣にとって代わる可能性はかなり低い。従って金融政策決定者の多くは仮想通貨が本当の通貨ではないので仮想資産(クリプトアセット)として見ている」と指摘したように、厳密には仮想通貨の資産としての有用性に着目している。その上で、「(暗号化されたデジタル資産である)仮想資産を使って最新のRTGSを構築し、将来的には国内の民間銀行を相手にしたホールセールバンキング(政府や機関投資家などを対象とした大口金融)を越えて、個人や一般企業向けに開放した最新のRTGSを目指す」と述べている。

 BOEの仮想通貨導入については、英紙デイリー・テレグラフが17年12月30日付で、「BOEが仮想通貨ビットコインと似たBOE独自の仮想通貨(RSコイン)を創設する」というスクープ記事を報じたが、カーニー総裁は講演で、「ホールセールバンキングで、新RTGSが仮想通貨の根底技術であるブロックチェーン技術で稼働させられないかかどうかについて模索したが、現時点では英国の年間GDP(国内総生産)の3分の1に相当する膨大な決済を処理するにはまだ信頼性の点で不十分であることが分かった」と述べ、RSコインの導入にはまだ時間がかかるとの見通しを示した。

 現在、BOEのRTGSでは毎日6000億ポンド(約89兆円)超の銀行間決済を処理しているが、同総裁は、「今のRTGSは決済リスクをなくすため、100万回の決済処理で10回以下の失敗というかなり高度な強靭性を持っているが、最新のRTGSでは5シグマ(100万回の処理で不良が5回発生)の精度が必要になる」とし、現状ではそこまでの精度に達していいないとした。しかし、「それでもBOEはブロックチェーン技術はいずれ、精度や効率性、代金支払いや精算・決済に関する安全性がかなり改善される可能性がある」と話す。

 英国の金融市場では目下、有価証券取引の決済に数日間を要し数百億ポンドもの資金が決済待ちとなって金融市場に滞留しているという問題が起きており、金融機関はその対策に取り組んでいるところだ。カーニー総裁は、「BOEはこうした問題を解消するため、10億分の1秒というナノセカンドで決済処理ができる新しい有価証券決済システムの導入を可能にするため最新のRTGSの構築を行っている」という。

 さらに、同総裁は、「われわれの最新のRTGSへの見直しによって、民間レベルでも決済システムへの革新の機運が高まると考えている。そのためにも仮想資産を金融監督当局の傘に入れた方が高精度で強靭な効率性の高い決済システムを構築する民間の金融革新を促すことが可能になる」と指摘する。
(イメージ写真提供:123RF)

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