仮想通貨A to Z

仮想通貨とは?

 仮想通貨とは、インターネットなどを通じて電子的に記録され、不特定多数の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、日本円や米ドルなどの法定通貨と相互に交換できるものを指します。また、法定通貨、または法廷通貨建ての資産(プリペードカード等)ではないことが挙げられます。もっとも有名な仮想通貨は、ビットコイン(BTC)です。

 ビットコインは2008年、Satoshi Nakamotoと名乗る人物がインターネット上に論文を発表したことに端を発し、ブロックチェーン(暗号技術等の複合的な組み合わせによるデータベース技術)を中核技術とするビットコイン理論を実現するためのソフトウェアがオープンソースで開発・公開され、09年に仮想通貨の第1号となるビットコインが誕生しました。

 ビットコインなど多くの仮想通貨最大の特徴は、非中央集権(国家や中央銀行、団体や個人などがコントロールしない)性を有しており、透明性と中立性が保たれているとされています。マネーサプライ自体に関する情報はすべてブロックチェーンへリアルタイムで書き込まれ、誰でも確認することが出来ます。また、仮想通貨は国籍を持たないため、世界中のだれでも保有することが可能(禁止されている国もあります)で、外貨両替のような手間や手数料が発生することなく送金や決済できる点にあります。この他さまざまな特徴がありますが、FX(外国為替証拠金取引)や株式と比較し、メリット・デメリットの観点から整理すると、図表1のようになります。

図表1:ビットコインのメリットデメリット

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※ 出所:モーニングスター作成

仮想通貨はたくさんある?

 ビットコインの誕生以降、様々な仮想通貨が誕生し、現在1,300以上の仮想通貨が存在すると言われています。その中で、ビットコインは仮想通貨全体の時価総額の5割以上を占める代表格で、ビットコイン以外の仮想通貨は総称してアルトコインと呼ばれています(図表2参照)。オルタナティブ・コインの略で、ビットコインを代替する通貨という意味です。

図表2:仮想通貨全体の時価総額と主要通貨の構成比

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※ 出所:モーニングスター作成

 仮想通貨と法定通貨の取引量を見てみると、市場の半分以上がビットコインの売買で占められていることになり、その中でも対円、対ドルで76%を占め、円が取引通貨で首位となっています(図表3参照)。かつての市場参加者の中心は中国人といわれていましたが、現在は日本人が多くを占めているようです。

図表3:ビットコイン取引通貨の構成比

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※ 出所:モーニングスター作成

 また、仮想通貨には、発展段階による区分が存在します。送受金に特化した通貨機能のみを有する「1.0世代」が草分けといえ、ビットコインを筆頭に、ライトコイン(LTC)、ダッシュ(DASH)などが該当します。

 第2段階では、ブロックチェーンやP2P(管理者を持たない直接やり取りするシステム)を進化させて、通貨機能以外の拡張機能性をもたせた「2.0世代」通貨が誕生、イーサリアム(ETH)、ネム(NEM)、イーサリアムクラシック(ETC)などがこれに該当します。イーサリアムには取引記録をブロックチェーンに書き込むことの他に、送金などその後の契約内容を自動的に実行する「スマートコントラクト」という機能が付加されています。イーサリアムの価値を高めた機能といえ、イーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額第2位の通貨にまで発展しています。

なぜ今、仮想通貨が注目されているのか?

 仮想通貨が注目される最たる理由は、単純明快、価格上昇率の大きさです(図表4・図表5参照)。値幅(騰落)が前日比で±30%以上変動することが頻繁にあり(他の金融資産ではマレ)、投機的といわれる理由の1つとなっています。価格変動リスクの大きな資産といえますが、ほとんどの仮想通貨は発行数量に上限が設けられており、大量発行で価値が下がる(価格下落)リスクは低く、希少価値があると考えられます。

 ビットコインの場合、2040年終了時の2,100万ビットコインという上限が設定されており、足元は約1,675万ビットコイン(発行上限の約80%)が現在、市場取引の対象となっています。残り20%近くはインターネット上に埋蔵されており、ブロックチェーン台帳に取引記録を追記処理する「採掘」にいち早く成功した事業者(マイナー)にビットコインが成功報酬としてもたらされ、発行数が増加するという流れになっています。

 発行上限のない例外的な通貨がイーサリアムです。元々は発行上限を設定していまいしたが、マイナーとイーサリアム所有者の利害調整などを目的に発行上限を撤廃、所有比率に応じて発言権を認める方式に変更されています。

 いずれにしても、希少価値を担保する仕組みとなっています。このため、早い段階で取得したほうが大きな値上がり益を得られるという先行者有利の心理が働き、仮想通貨市場を過熱化させている面もあるようです。

図表4:主要仮想通貨価格の年初来上昇率(対ドル)

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※ BCHはBTCとの分裂後の7月23日終値
※ 17年高値と終値はいずれもUSD

図表5:ビットコイン価格と出来高推移(対ドル)

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※ 出所:モーニングスター作成

 ビットコインを中心とする仮想通貨取引の現状は、株式や債券、為替、コモディティなどの市場に比べ、市場参加者が少なく、値上がり期待の投機的な売買に偏っているのが現状です。ただ、12月11日にはCboe(シカゴ・オプション取引所)、18日にはCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)でビットコインの先物取引が開始され、機関投資家の参入が期待される他、決済や送金需要など実需からくる資金流入が、今後の市場流動性の向上につながることは間違いないでしょう。

 ビットコイン取引は対円での売買が大きな比率を占めていますが、国内においては17年4月1日に改正資金決済法が施行されたことも仮想通貨取引への追い風となっているようです。国際的な普及や国内の仮想通貨事業者の破たん事例などから、新しい制度が導入されることになりました。同法施行により仮想通貨が法定通貨に準ずる支払い手段と認められたといえ、決済や送金など実需が拡大する下地が整ったといえます。

ICOとは?

 ICO(イニシャル・コイン・オファリング、仮想通貨技術を使った資金調達)とは、資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、独自のトークン(デジタル権利証)を発行・販売し、資金調達する手段・プロセスのことを指します。投資家にはトークンを購入してもらいますが、基本的に株のような議決権や配当など対価の支払いはありません。トークンセールなどとも呼ばれ、従来型の新株発行を利用したIPO(新規株式公開)とは異なる資金調達手段として注目を集めています。

 トークンは発行体の事業・プロジェクトの目的とその発展によって価値を変えていきますが、図表6のような分類で大別されています。

図表6:ICO時に発行されるトークンの分類と特徴

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※ 出所:モーニングスター作成

 このように様々な設計のトークンが存在しますが、既存の金融法制に抵触するものもあり、トークンがどの種類に該当するかを理解することが大切です。

 一般的に、企業もしくは事業プロジェクトが資金調達を行う場合、金融機関からの借り入れ(デットファイナンス)を行うか、もしくは新株発行(エクイティファイナンス)により出資を受けるかのいずれかの方法がとられます。ただ、こうした従来の方法は手続きの煩雑さに加え、信用力の低いスタートアップなどは金利負担などで、資金調達に踏み切りにくいという難点がある。ICOであれば、トークンの発行体には、(1) 出資者への配当は不要、(2)利払い負担がない、(3) 出資者に議決権は付与されず発行体は経営に関与されるリスクがない、(4)インターネットを介しグローバルな資金調達が可能――といったメリットがもたらされるのです。

 一方で、問題点も多く存在します。証券取引所における上場審査のように第三者機関が事業者を細かくチェックするプロセスがないため、企業やプロジェクトの信ぴょう性、将来性、安定性などが担保しづらいというデメリットがあります。発行体は出資者を募る際に「ホワイトペーパー」という目論見書(資金調達目的を投資家向けに説明する事業概要をまとめた文書)のようなものを任意で発行するケースがほとんどですが、難解な文言が多く含まれ、一般の投資家が理解するのはかなり困難です。金融商品取引法のような準拠法に沿った内容ではないことも懸念材料です。

 

 税制面の問題も存在します。有価証券ではなく、モノ扱いのトークンを発行するICOでは、既存の金融規制の適用を受けない代わりに、会計処理は売上計上(資産扱い)とされ(株式や債券は、資産や負債として計上)、課税対象となります。多額の資金調達になると、資金効率は悪いといえるでしょう。

 ICOにはメリットとデメリットが存在します。プロジェクト実現のために、本当にICOが適切なのかを見極めることは、非常に重要なポイントになってくると考えられます。

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